まきまきのボヤき

長野パルセイロ、サッカー、その他ボヤき

サッカーでのジャイアントキリングによるパワーアップ効果の実例調査

 ジャイアントキリング・・・事前予想では格下と思われる側が、圧倒的に格上と思われる相手に勝利を収めること

  有名なものとしては漫画『SLAM DUNK』での湘北対山王工業などですかね。

  2021年の天皇杯においてもJリーグの格上クラブが下部カテゴリーのクラブに負けてしまう、上記のようなジャイアントキリングが各地で巻き起こっています。格上クラブの当該者からしたら堪ったもんじゃないとは思いますが、これもサッカーの醍醐味!と多くのサッカーファンが盛り上がりを見せています。

  そんな中長野パルセイロは、2021年現時点におけるJリーグ最強クラブである川崎フロンターレ天皇杯で対戦し、事前予想では「5点くらい取られるかも」とか「せめて3失点くらいに抑えたい」など弱気な意見もみられるなか、あわやジャイアントキリング寸前まで追い詰めました。その戦いぶりはフロンターレサポーターにも評価され、「2021年川崎フロンターレ相手に最も長い時間(暫定)得点リードしたクラブ」という、パルセイロがすごいのかフロンターレがすごいのかよく分からない記録を打ち立てました。

  そして迎えたJ3リーグ、王者相手に善戦し自信をつけた長野パルセイロはそれまで9試合で6点しか取れていなかったチームが、2試合で12得点叩き出すという謎の覚醒を見せ、Jリーグ界隈の話題をさらっています。

  格上相手に善戦することで急激にレベルアップし、その後同レベルの相手を圧倒する、まさに漫画の主人公のようです。そういえばSLAM DUNKでも山王を相手にした湘北の面々が試合の中で進化していく様子や、るろうに剣心でも弥彦が成長して十本刀を倒す場面は名シーンでしたね。

  そこで本題ですが、「ジャイアントキリング(もしくは善戦)したクラブは漫画のように急成長を見せ、その後パワーアップするのか?」名付けて”ジャイキリブースト効果”を調べたいと思いました。

  パルセイロが話題になってる今だからこそ、完全なる乗っかり商法ですが、これもパルセイロを啓蒙していくためと思い、ググっていきますのでどうぞお付き合いください。

  とりあえずジャイキリブーストに必要なジャイアントキリングの定義として格下が格上に勝つというのがあるのですが、とりあえず今回は【前年のリーグ王者相手に下部カテゴリーもしくはアマチュア天皇杯にてジャイアントキリング、もしくは善戦した時にその後ジャイキリブーストらしき現象は発生したか】と、極めて限定的に定義したいと思います(調べるのがめんどいからではない)。

  では早速。

2019年天皇杯2回戦 川崎フロンターレ明治大学

  いきなりフロンターレ出てきたよ!なんなんだよ!主人公のライバル的ポジションかよ!流川かよ!2018年リーグ王者のフロンターレ相手に明治大学が善戦。0-1で負けるのだが、王者相手に戦い抜いた明治大学の姿に観客は涙を流したとのこと。

https://4years.asahi.com/article/12514663

  さて明治大学のその後だが、実はこの年の明治大学はメッチャ強くて、普通に関東大学リーグどころか他の大学トーナメント優勝してて、後にプロになる中村帆高、常本佳吾、安部柊斗とか相当エグイメンバーがいたのでこれがジャイキリブーストに当てはまるかが判断に困る。そして2019年の明治大学のメンバー見てたら、ベンチにまさかの住永翔がいた。ちょっとウケる。

  ジャイキリブースト効果:▲(ブースト関係なく大学界隈では普通に強かった)

2018年天皇杯2回戦 川崎フロンターレソニー仙台

  ジャイキリの対象を前年リーグ王者に限定したことで、フロンターレの登場率が高いがこの後は一切出てこないのでご安心ください(フロサポの過去の悪夢を掘り起こすスタイル)。ソニー仙台は2点を先制しながら後半に王者の意地を見せ、試合終了間際に家長に逆転弾食らって終了。しかしフロンターレをぎりぎりまで追い詰めたこの試合は、天皇杯の怖さとサッカーの楽しさを改めて確認させてくれた試合だった。

https://youtu.be/JUIoHHn3c1Y

  さてソニー仙台のその後だが、この4日後に行われたJFL、対テゲバジャーロ宮崎戦はなんと3-0の快勝。しかも後半に3点取るという、フロンターレに食らった腹いせをそのまま何も関係ない宮崎相手にぶつけるという鬼畜の所業。やっぱりジャイキリブーストはあったんだ!と思ったが、実はこの頃の宮崎は不思議なくらいに負けが込んでいて、この時も前節でFCマルヤス岡崎に4-0で完敗してからのソニー仙台戦だったことも踏まえると、ただ宮崎が弱かったんじゃないか説もあるので難しい。ただソニー仙台もこの次のFCマルヤス戦は1-2で普通に負けてるが、その後は結構得点もとったりしてるので何かしらの効果はあったんじゃないでしょうか。(適当)

ジャイキリブースト効果:〇(後半に3点取れたのは、効果があったってことじゃないでしょうか(適当)

2012年天皇杯4回戦 柏レイソル横河武蔵野FC

  そういえば数年前まで、J1優勝クラブは天皇杯シード権があったの忘れてた。ということでJ1王者が下部カテゴリーやアマチュアに苦戦する要素がだいぶ無いことが多かったの思い出した。アマチュアがJ1王者と戦うまでにどんだけ勝たなきゃいけないんだよと。それはさておき、前年2011シーズンJ1王者の柏レイソルは、天皇杯JFL所属の横河武蔵野FCと対戦。レイソルはこの年、リーグもそこそこ勝ってたし天皇杯も優勝してたのでかなり強かった気がする。対する横河武蔵野FCも2回戦でFC東京を撃破するなど話題になっていた。これはジャイキリブーストにうってつけ。試合は前半に先制したレイソルがそのまま逃げ切る形となったが、格下に対して、思うようにいってなかったレイソルと横河が頑張って攻めていた試合だった。

https://youtu.be/V75wUfcrP84

  さてジャイキリブースト効果検証ですが、なんとこの年は12月に天皇杯を開催していた関係で、横河武蔵野FCはこの試合でシーズンラストゲームになっていて、ジャイキリブースト効果の検証が難しいという結果になってしまった!企画倒れ!一応新シーズンの開幕戦は2-0で勝ってるが、シーズン順位は10位だし、この試合に出場した選手がその後大活躍したという情報も見つけられなかった。ちなみにこの時の横河のスタメンに元パルセイロの冨岡大吾がいた。ちょっとウケた。

ジャイキリブースト効果:×(試合が無かったため検証できず)

番外編(海外)

2015年FA杯4回戦 マンチェスターシティ対ミドルスブラ

  ここでジャイキリの本場イングランドFA杯から1試合、そう、あの天下のスーパービッグクラブ、正真正銘のプレミア王者マンチェスターシティが、当時2部だったミドルスブラに0-2の完封負けを喫したのを紹介したい。このときシティのスタメンはガチもガチで、普通にリーグでスタメンだったアグエロ、シルバ、コンパニとかを平気で起用。当時の監督はまだペジェグリーニだった!いたな、そういえば!シティのベンチにはなんとランパードも控えてる!いたな、そういえば!

https://www.afpbb.com/articles/-/3037571

  さてこの試合後のミドルスブラだが、当時2部からプレミアリーグ昇格争いの真っただ中、なんと3連勝を挙げ、昇格に向けて調子が上がっている!さすが王者を倒したクラブは違うぜ!かと思ったが、その後の成績は連敗して勝って連敗するなど、アクセルと急ブレーキを交互に踏むような結果となり、この連敗が響いて結局昇格プレーオフにまわった挙句、シーズン中は勝利したノリッジ相手にプレーオフ決勝で負けて昇格を逃すという悲劇のシーズンとなっていた。ジャイキリブースト効果があともう少し長続きすれば・・・と悔やまれるシーズンだったが、この翌シーズンは2部で2位に入り、きっちりプレミアリーグ昇格しているのでこれもいわゆる一つのジャイキリブースト効果に含めていいでしょう(なお、あまりの得点力不足により1シーズンで降格した模様)。ちなみにこのジャイキリ時にゴールを挙げたバンフォードは、このあと、色々なクラブを流れ流れてリーズに加入。そして2020‐21シーズンは37試合17ゴール!すげえ!これもジャイキリ効果や!(こじつけ)

ジャイキリブースト効果:〇(結果論)

2021年コパ・デル・レイ3回戦 レアルマドリード対アルコヤーノ

  直近で分かりやすいジャイアントキリングがあった!あの世界一の金持ちクラブ、レアルマドリードが2021年のカップ戦で、3部相手に負けてる!しかも延長までいって!こんなに痛快なことあるか!!ジダンが地団駄!!

  試合内容としては、レアルマドリードがマルセロの札束クロスから金にモノを言わせて先制した後、アルコヤーノが後半にジャイキリの定番、セットプレーからの同点弾を叩き込んだ後、延長後半10分にアルコヤーノのカウンターからのスーパー逆転ゴール!マンガ!マンガだよこれ!湘北対山王だよ!データを見てもシュート数はアルコヤーノ5本に対してレアル26本、ボール支配率に至ってはレアルが73%、控えメンバー中心のスタメンだったレアルが途中交代でベンゼマアザール、クロース、アセンシオを投入し、札束と金塊でボコボコに殴ってくる上、挙句の果てには延長後半にアルコヤーノに退場者が出てからはまさにサンドバック状態、そんな中2ゴールを決めて勝利してしまうアルコヤーノの奇跡は、全世界のサッカークラブに夢を与えてくれたことであろう。いや、マジでマンガだろこれ。(ちなみにアルコヤーノの年棒は全員で約8800万円、マルセロの年棒が約21億7000万円なので、マルセロはアルコヤーノを24個買える)

https://www.goal.com/jp/%25E3%2583%258B%25E3%2583%25A5%25E3%2583%25BC%25E3%2582%25B9/real-madrid-zidane-copai-20210121/17orr7sdifnxz1knapgbldbx6k

https://youtu.be/fXhuswqe7To

ハイライトは必見。

  さてこれほどの奇跡を見せたアルコヤーノ、クロースやベンゼマに比べれば、3部の選手なんて恐れるに足らずなハズでさぞかしジャイキリブーストを発動したことだろうと思って調べたら、その直後の試合では2-0完封勝ちしてる!ジャイキリブーストはありまぁす!と言いたいとこだったが、この試合、相手に退場者が出てたことが判明。まぁ、勝ちは勝ちだから。次の試合でも1-0完封勝ちを果たして、まぁそりゃルーカスバスケス、イスコ、ヴィニシウスらとやりあってりゃ守備は堅くなりそうだよななんて思ってたら、次のビジャレアルB相手に0-2の完封負け。あっけない。ただアルコヤーノ自体はこのシーズンは昇格プレーオフ進出を達成し、あのレアルを倒したことでネットニュースを騒がせたあたりから見ても、ジャイキリブースト効果ありと判断してもいいんじゃないでしょうか。大事なのはブースト効果じゃなくて、頑張れば奇跡は起こせるということなんですよ!

ジャイキリブースト効果:○(大事なのは、頑張れば奇跡は起こせるということ)

  うまくキレイにまとめられましたね。

※7月6日追記

  パルセイロフロンターレ戦後4連勝!しかも上記の後の試合は試合終了ラストプレーでの劇的ゴール!とJ3首位相手の逆転勝ち!これはもうジャイキリブースト効果証明されたね!!