まきまきのボヤき

長野パルセイロ、サッカー、その他ボヤき

サカつく2が無ければ、僕の人生はこんなことにはならなかった

中学生の頃、当時、プレイステーションが世論の圧倒的なマジョリティーを占めていたなか、僕は何故かセガサターンをやっていた。FFシリーズ、マリオ、ポケモンなどといったスーパー人気メガコンテンツ達が相次いでプレステやニンテンドー64に進出しているのを羨ましいと思いつつも、中学生時期特有の歪んだアイデンティティーと歪曲したオリジナリティをセガサターンバーチャファイター2とグランディア天外魔境第四の黙示録のなかに見出していたある日、知り合いのR君の家に遊びに行った時の事だ。

僕を含めた中学生の男子7人くらいでR君の部屋で暴れまわり、キムチ鍋をつつき合い、深夜に放送されていた大人向けのテレビを鑑賞し、トランプ大会をし、なぜかゲロを吐き出す奴まで現れる楽しい一夜を過ごした後、じゃあ帰ろうかというところで、R君が持っていたソフトを見つけた。プロサッカークラブをつくろう!2。当時バスケ部に所属していた僕はなぜか分からないがこのソフトにとても興味を惹かれた。いや、嘘です。本当はこのサカつく2のカバーケースのなかに大人向けの映像盤を入れて持ち帰るつもりがすっかり忘れていて、そのまま普通にサカつく2が入っていただけです。家に帰ってその事実に気づいたときは僕は多大な期待を裏切られた悲しみと指差し確認を怠った自分を責めに責め、深く深く絶望した。が、しょうがない、とりあえずやるだけやってみるかと思い、サカつく2をセガサターンに差し込んだ。これが僕とサカつくの最初の出会いだ。OPは今でも覚えている。あるサッカー少年が街中で見かけたテレビのサッカー中継のなかに自分が試合に出て活躍をする妄想を当て込むというのがメインストーリーなのだが、セガサターン特有のカクカクしたポリゴンで描かれるサッカーシーンとテュレレ テッテッテッ テレー!の軽快なBGM。デカデカと表示されるタイトル画面のプロサッカークラブをつくろう!2の文字。当時としては最高峰に綺麗なグラフィックでそれだけでもちょっと高揚感を覚えた僕は、さっそくニューゲームを開始する。するとここでいきなり【秘書は誰にしますか?】の文字と3人の可愛らしい女性が立ち並び、この中から人生の(サカつくの)伴侶を選ぶところからこのサカつく2は始まる。サッカーゲームなのにまずは秘書選びという、サッカーゲームの根底を覆す選択肢。ありえない。普通サッカーゲームといえば、起動→こういうのが陽キャ系サッカーファン(女子とフットサルしたあとにBBQとか行くks野郎ども)は好きなんでしょ?と言わんばかりのイケてる感満載なBGMを聞きながらプレイモード選び→あえて強豪クラブや強豪国は使わない等謎のこだわりを持ちながらチーム選び(クロアチアとかビジャレアルとかを選びがち)→調子のパラメータを見ながら「なんでコイツがサブなんだよw」と知ったような口をききながらスタメン選び、の流れが王道で、女子を見かけるようなタイミングなどどこにもなく、起動した瞬間から「今日はどんなプレーを展開してやろうか」「誰を補強してやろうか」「俺のデブライネが火を噴くぜ」などといいながらサッカー脳に即座に切り替わるのが普通である。が、このサカつくはいきなり秘書を選ばせてくるのだ。しかもこの秘書、能力やゲーム進行上での違いは一切なく、清楚そうな黒髪ロングヘア―女子のめぐみ、茶髪ショートで元気なお姉さんのえみ、スペイン人でセクシー雰囲気駄々洩れしてるマチルダのなかから好みの一人を選び、しかも選んだ時点で一生変わることのない、10年も20年どころから100年先1000年先も変わることのない秘書を一番最初に決まろと迫ってくる。

まず、めぐみは料理と乗馬と映画鑑賞が趣味というインドアなんだかアウトドアなんだかよく分からないタイプでそもそも乗馬が趣味ってだいぶこじらせてやがるなコイツって感じで、多分実家がお金持ちで軽井沢に別荘を持っていて、長期休みは毎年軽井沢で過ごすことになっていて昼は乗馬を楽しんで、母親と晩御飯を作り、夜は大きなテレビでゆったり映画鑑賞をするような休日を過ごしてきたんだと思う。調子乗りやがってくそが。

一方えみは、スキーとマウンテンバイクが趣味とかいう典型的なアウトドア女子だけど今の時代スノボーよりもスキーができるっていうだけで萌えポイント高いし、マウンテンバイク乗ってるけど多分肘ガードとか膝ガード、ヘルメット完備で転んだ時のことを想定して防護系は完璧に揃えてて意外と怖がりというギャップもめっちゃ可愛いし、遊んでそうな見た目とは違って根は真面目だし、僕と二人で居酒屋にお酒飲みに行ってバカ騒ぎしたあとの二軒目では急にしおらしくなって「私、好きになった人からはあんまり好かれないんだよね・・」「一緒にいて楽しいなって思える人がいいんだよね・・・」とか赤い顔しながらマジトーンで打ち明けられたときはこいつは俺が守らないとってなったし、とにかくえみはマジで最高の子。秘書としてじゃなくて人生の伴侶としてえみを選んだつもりだし、一緒にこのクラブを大きくして有名になって、誕生日には1億円はするようなプレゼントを買ってやれるくらいビッグなオーナーになってやるからなって宣言したら泣きながら笑ってくれてたっけ•••。えみと俺のプロサッカークラブと共に最高の家庭をつくろう!2はまだまだ始まったばかりなんだ!!

チルダは知らん。

秘書(えみ)を決めた後はようやくチーム名とホームタウンを決めるのだが、特に気を付けるのはホームタウン選び。実はこのゲーム、ホームタウンの場所次第でスポンサーが変わったり、客の入りが変わったり、難易度に直結してくるのだ。例えば、序盤の貴重な資金源である年間のスポンサー獲得において、例えば山に囲まれた地域を選ぶと海関係のスポンサーは一生出ることはない。海関係のスポンサーは結構大口のスポンサーが多いのでこれだけでも相当なハンデとなりうる。また人口やサッカー熱がすでに高い横浜や大阪などの大都市を選ぶと序盤から比較的有利に進めることができるが、その分の初期投資だけで全財産が無くなり良い選手が獲得できなくなり勝てなくなってゲームオーバー。逆に初期投資が安いからといって長野の農村や山奥などを選ぶと、全然お客さんが入らず、資金繰りに苦しみゲームオーバー。ただやはり自分の地元に自分の理想のサッカークラブを作るという夢を叶えるこのゲームにおいて、何の縁もゆかりもないような地域にクラブを創設するというのは野暮というもの。というわけで僕は地元である軽井沢を選ぼうと思ったが、軽井沢は町であり北佐久郡に含まれてしまうため、軽井沢の地名は使えないことが判明。怒りのあまりSEGAに抗議の電話をいれようと思ったが、当時は携帯電話などまだ普及していなかったため泣き寝入り、仕方なく市としてちゃっかり登録されている小諸にしようか佐久にしようかなどと妥協に妥協を重ねた結果、今ここに【北佐久メジェール】が爆誕した。

サカつく2のストーリーはこうだ。

J1への昇格争い最終盤、昇格争い真っ只中のメジェールは、コンサドーレ札幌ブランメル仙台(今のベガルタ仙台)、そして同じホームタウンにクラブがあるライバルクラブとの直接対決を控え、この3戦での結果次第で念願のJリーグ昇格(ゲーム本編スタート)というところで試合は始まる。要は本編開始に先駆けたチュートリアルのようなもので昇格するまではただ試合に向けた練習とチーム戦術を決めるくらいしか出来ることはないのだが、当時頭の先から足指の爪まで体育会系バカだった僕は「とりあえずランニングっしょ」と、仮にもJリーグを狙えるようなレベルにあるサッカー選手たちの運命を賭けた大事な試合の前に、まるで部活に入ったばかりの新入生かのごとくランニングを強要するという愚行をぶっかまし、案の定昇格を逃して初めてのゲームオーバーを味わった。その後も何度かのやり直しを経て、無事に昇格争いを制し、念願のJリーグ加盟を果たした。そのあとは年末を越え、年始の大事な仕事はスポンサー選びなのだが、このスポンサー選びも結構クセモノ。現実でのスポンサー枠は多ければ多いほど財政は潤うと思うのだが当時のサカつく2はスポンサーの獲得枠に上限があり、そのなかでもやたら高額な料金払ってくれるなというスポンサーはだいたい条件がついていて、例えば【ファーストステージ、セカンドステージのいずれかで6位以上にならないとスポンサー料全額返金】などとJリーグに昇格したばかりのクラブに狂ったような無理難題を押し付けてくるようなスポンサーや、やたら安いスポンサー料のくせに3年やら5年も長期でスポンサーになろうとしてきたり、とにかく慎重に選ぶのが基本。だが、当時はあまりそのあたりをよく理解していなかった僕はとりあえずスポンサー枠をフルで埋める事を優先してしまい、後々に強豪クラブとなって大型企業からのスポンサー契約を打診されるも、安いスポンサー料で長期契約を結んでしまっていたゆえに枠の関係上、大型企業と契約できないという悲しい目に遭うのだ。おい、ネジ製造会社聞いてるか、お前の事だぞ。そんなこんなでゲームを進めていくのだが、サカつく2の良い点の一つはなんといってもその進行の手軽さ。練習はほぼ監督任せで、僕はクラブのスケジュールを決めて、選手編成を考え、試合の様子を高速ハイライトで見るだけなのだ。シーズンオフの間はとにかくプレシーズンマッチをホームで組み込んで入場料を稼ぎ、シーズンが始まったら若くてそこそこ実力のある選手を買い揃え、クラブハウスや練習場やスタジアムといった施設を増築していく。このなかでも特に重要となるのは、直接の収入源になるスタジアム入場料に直結するホームスタジアムの拡張で、最大まで拡張するとなんと18万人収容スタジアムにまで大きくなる。人口2万人程度の軽井沢町に18万人収容のサッカースタジアムが建つなんて普通はあり得ない、建築にあたって軽井沢町景観育成条例ガイドラインによれば、

軽井沢町の特徴的な景観
・緩やかな裾野を持つ浅間山が、独立峰に近い形で望むことができる。
・苔が絨毯のように広がる緑深い樹林内に点在する別荘が織り成す独特の景観
・自然の景観に配慮して建築された別荘が歴史の中で時を重ね、自然と渾然一体となり創りだす深みのある景観

これらに配慮した建築物作りをふまえ、敷地周辺の既に形成されている景観との調和に努め、良好な自然と景観の維持、保全、育成に最大限の努力をしなければならないとのことで絶対無理だろこんなん。また、ガイドライン軽井沢町の公式サイトから確認)の中にある(ア)配置 の(エ)浅間山佐久平への眺望を極力阻害しないような配置とすること。これも無理だろ、18万人収容スタジアムだぞ、埼玉スタジアム2002の収容人数が63700人なんだからざっと3倍の規模だぞ、浅間山よりも普通に目立つだろ、あなたが碓井軽井沢インターから軽井沢プリンス通りに向かっていくなかでまず一番に目に入るのは、浅間山でもプリンスゴルフ場でもなく北佐久メジェールスタジアムになるのです、浅間山や自然への眺望を極力阻害しないようには配慮した結果、軽井沢の自然を生かしたスタジアム作りということで建築材に白樺を使用し、自然の風が入りやすいような設計にし、そもそも軽井沢は夏は涼しいのでエアコンも導入しませんのでとてもクリーンです景観条例はしっかりクリアしてますとまきまきオーナーは胸を張って言いますが普通に夏の軽井沢は暑いですし白樺でスタジアムなぞ建築したら確実にぶっ壊れます。軽井沢は土地は余りまくってると思うので軽井沢プリンスショッピングプラザ周辺の土地をフル活用して一大エンターテイメントスタジアムが完成するわけないだろ、いや待てよ。そもそも条例を変えてしまえばワンチャンある・・・?サッカークラブのオーナー兼軽井沢町町長とか普通にアリだな。国の首相でありながらサッカークラブのオーナーの人もいるわけだし、サカつく2ではマイホームタウンに投資ができるシステムがあり、ゲーム後半になると資金が余りまくって999億を超えても内部処理的には資金が貯まっている状態になり普通に1000億円以上を投資できるため、いっそ町長になって条例を変えてしまう手もありますね。えみは俺の妻兼サッカークラブオーナーの妻兼町長の妻になるわけですね。何の話だ。

また、序盤攻略のポイントとしてネット上の大手(?)サイトによれば、①練習場に芝生を敷く②スタジアムを大きくする③若い実力者を獲得するとありますが、僕なりの攻略法として④とにかく安いJリーガーを引き抜きまくるというのを勧めています。実は序盤からクラブに在籍している選手たちはエディット選手以外はマジモンの雑魚選手で、昇格における功労者であるのは間違いないけどハッキリ言って一人二人を除いて全員即解雇したいレベルで、代わりに取るべきは固有コメントのついた有力選手ではなく、モブキャラレベルの実写顔Jリーガー達。攻略本でいえば、S~Bクラスの選手一人を5億円かけて獲るよりも、C~Eクラスの選手を一人1億円くらいで3人獲ったほうが戦力アップにつながる。ということでさっさと選手を入れ替えまくっていくことが大事なのだが、昇格に向けて頑張ってくれた選手たちをいきなり片っ端から切りまくって次々とよそからの選手を加入後即スタメン起用するクラブって果たしてどうなんでしょう。昇格クラブあるあるですね。もしこれからセガサターンを買ってサカつく2をやりたいって人や、サカつく2の序盤攻略に手間取ってるって人がいたらぜひ参考にしてください。逆に能力が高くても、カードめっちゃ貰う系の選手は獲得しちゃダメ。普通に3試合に1回は退場するから。ストイコビッチとかゴールした後シャツどころかパンツまで脱いじゃってるの?レベルで常にレッドカード貰ってる。ただ普通に何も考えずにゲームを進めて4~5年くらい経過してきたら選手も揃ってくるし、Jリーグもまだ2ステージ制の頃なので、1stステージか2ndステージどちらかで優勝すればチャンピオンシップに進んで運よく勝てば総合優勝とかできてお金もがっぽり貰えるからそれでまた選手揃えればすぐに国内10連覇くらいできるようになるので、簡単に成功体験がつかめてすぐに沼る。1年も30分~1時間程度でサクサク進んで、慣れてくるとただ試合を進めて獲得選手リスト眺めて監督リスト眺めてお金がガンガン増えていくのをひたすら眺めるだけのゲームになるので、「あと1年だけやろう・・・」、「もうちょい進めたらペレ出るかも・・・」などとやっていたらあっという間に5年10年経過していることもザラなので、香川県ではサカつく2は絶対できません。

そうこうしてるうちに僕はだんだんとリアルサッカーにも興味を持ちだして、週刊サッカーダイジェストサッカーマガジンを読み始め、海外サッカーにも興味を持ち始めて、中田英寿中村俊輔セリエAに在籍していた頃には、「中村俊輔出場予定試合!」とかいってレッジーナの試合が地上波で放送されていたので深夜に起きてわざわざ見たり(ちなみに中村俊輔は出場せず、レッジーナによる無の試合を白目で傍観してた)、その後のサカつく3、サカつく4もしっかりやりこみ、UEFAチャンピオンズリーグの決勝を毎年ほぼ欠かさず視聴したり、稲本がアーセナルにいた頃の地上波放送のアーセナル戦を見て衝撃をうけたり、とにかく僕の人生にサッカーが入り込んだ一番の要因はこのセガサターンサカつく2によるものなので、SEGAは責任とってパルセイロのスポンサーになってください。あと、えみを今見返したらすっげえポリゴンで幻滅した。